慢性中耳炎

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慢性中耳炎

原因について

幼児期の急性中耳炎の治療が不十分な場合など、中耳に慢性的細菌感染が持続することがあります。鼓膜の穿孔に加えて長期間の炎症により、耳小骨や中耳にも障害が及んだものを慢性中耳炎といいます。

症状について

慢性中耳炎は耳漏を繰り返します。伝音性難聴に加えて、感音性難聴も混在していることが多く、混合性難聴を示します。炎症が増悪すると、めまいや耳鳴り、頭痛、まれに顔面神経麻痺なども起こりることがあります。

治療法について

局所処置や点耳薬などにより、炎症をコントロールすることで、慢性中耳炎による耳漏を止めることは可能です。
しかしながら慢性的な病巣が中耳に存在する場合は、風邪などがきっかけで耳漏を繰り返します。この様な場合には、慢性的感染病巣を清掃すること、さらに鼓膜穿孔の閉鎖、中耳腔の形成、耳小骨の再建などにより聴力を改善する手術的治療が選択されます。

手術について

慢性的感染病巣が消失して鼓膜の閉鎖だけでよい場合は、鼓膜形成術を行います。鼓膜の閉鎖に加えて慢性感染病巣の清掃、耳小骨の再建が必要な場合は、鼓室形成術+乳突削開術を行います。当院では、耳小骨の再建には細田が開発した軟骨接合型人工耳小骨を用います。この耳小骨を用いることで、非常に安定した再建が可能で、現在多くの大学病院でも使用されるようになりました。

鼓室形成術のリスクとしては、めまい、耳鳴り、難聴の増悪、顔面神経麻痺、味覚障害などが考えられますが、熟練した医師のもとで行う場合、ほとんど安全な手術といえます。 当院では、局所麻酔の日帰り手術を行います。手術は、ほとんど痛みなく、多くの患者様はモニターでご自分の手術の様子をご覧になっています。小児など、全身麻酔が必要な場合は近隣の岩野耳鼻咽喉科サージセンターで一泊入院手術を行います。

術後の生活について

手術後、約2週間は激しい運動を避ける、強く鼻をかまないなどの注意が必要です。
当院では、外耳道皮膚を極力温存(intact skin法)しますので、非常に鼓膜の上皮化(皮膚で被われること)が早く、感染の危険性が低いのが特徴です。ほとんどの場合、術後2日目で洗髪可能、通常の就労可能となります。

術後の通院は、通常手術翌日、2週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後に診察させて頂き、以後6ヶ月に一度 耳内の点検、観察を行います。

よくある質問

Q.日常生活の注意点はありますか?
A.手術後1週間は強い鼻カミを避けて下さい。また、手術した耳を圧迫したり、下にして寝ないで下さい。術後2日目で洗髪可能ですが、耳の中まで水を入れないで下さい。
内耳を触る手術(耳硬化症におけるアブミ骨手術)の場合には、強い力み動作(重いものを持ち上げる、トイレで強く力むなど)を術後2週間は避けて下さい。
Q.手術しないで治す方法はありませんか?
A.急性中耳炎や鼓膜外傷(耳かきで鼓膜を破る)などは、保存的治療(手術なしで薬や洗浄などで治療)で治ります。また、慢性中耳炎でも耳だれを一時的に止めるのは、保存的治療で十分です。しかし数年以上続く慢性中耳炎は、耳の骨の中に持続感染が存在し、鼓膜にも穴があいていたり、耳小骨が破壊されていたりします。耳の中の「感染巣を根治する」、また「聴こえをよくする」ことを希望される場合は手術が必要です。
Q.手術の危険性は?
A.耳の中には聴覚神経、平衡神経、顔面神経、味覚の神経などがあります。聴覚神経の障害で難聴の増悪と耳鳴り、平衡神経の障害で持続するめまい、顔面神経の障害で顔面麻痺(顔が動かなくなる)、味覚の神経の障害で舌半分の味覚低下などが起こりえます。また、耳の上には脳があり、髄膜炎や髄液瘻(脳髄液が漏れ出す)、さらにまれなトラブルとして、術中の不整脈や呼吸機能障害など、重大で予測の困難なものもあります。しかし、当院では今まで重篤な後遺症など問題となるトラブルは、ほとんど発生していません。この意味で当院の手術手技は安全性が高いものと考えていますが、これは色々な技術的改良を重ねた結果と自負しております。
Q.手術中に意識はありますか?
A.全身麻酔では完全に意識もなくなりますが、当院では局所麻酔ですので基本的に意識があります。しかし、手術中は精神安定剤を点滴しますのでボーとした状態となります。当院で局所麻酔を選択する理由は、麻酔手技の改良で術中にほとんど痛みがないこと、当院では手術中に患者さんが自分の耳の中をモニターで見ることができ必要あれば説明を受けられること、手術中に聴力が改善することを医師と共に確認できること、などが挙げられます。
Q.局所麻酔は怖いのですが…
A.全身麻酔では完全に意識がなくなり「怖くない」と思われる方が多いのですが、これは全く逆で、全身麻酔ではたとえ脳を障害したとしても患者さんは動かずじっとしています。医師は麻酔が覚めた患者を診て、はじめてトラブルに気付くこともあるのです。局所麻酔では、顔面神経や脳実質など大切な神経を触ると必ず痛みが起こり、医師はすぐに危険を察知します。また、患者さんと会話することも可能です。医師の技術が高く、短時間に確実な手術を行えるのであれば、大量の麻酔剤や人工呼吸器を使う全身麻酔に比較して、シンプルな局所麻酔の方が遙かに安全です。欧米では耳手術の多くが局所麻酔、日帰りで行われます。
Q.手術は痛いですか?
A.局所麻酔ですので、はじめに耳の周りに注射しますが、この時に痛みを感じます。その後は、ほとんど痛みを感じなくなります。もし痛みを感じれば麻酔を追加しますので、術者に伝えて下さい。
Q.手術の時間はどれぐらいですか?
A.慢性中耳炎による鼓室形成術の場合、2~3時間程度です。
Q.術後いつから洗髪できますか?
A.術後2日目から洗髪できます。耳に後ろの切開部位には保護テープが貼ってあります。そのテープの上から水がかかっても問題ありません。
Q.術後仕事はいつからできますか?
A.通常のデスクワークは、術後2日目から可能です。重労働、潜水、フライトなどは、医師にご相談下さい。
Q.術後いつから飛行機に乗れますか?
A.耳管機能に問題ない方であれば、術後3日でフライトは可能です。患者さんにより耳管機能は異なりますので、医師にご相談下さい。