耳の病気・治療ear

特発性両側性感音難聴

特発性両側性感音難聴の原因について

原因不明の難治性の感音難聴で、徐々に聾(ろう)に向かって両耳の難聴が進行します。
特発性(とくはつせい)とは「原因が不明である」という意味です。めまいを伴うメニエール病などでも両側性、進行性に難聴が進むことがありますが、原因が明確なものは特発性両側感音難聴とは呼びません。
特発性両側感音難聴には若年型と成人型があります。若年型は家族性に発症することも多く、遺伝的素因の関与が考えられています。

特発性両側性感音難聴の症状について

特発性両側感音難聴は、突発性(とっぱつせい)難聴と混同される場合がありますが、突発性難聴は片方の耳だけに起こること、再発が少ないこと、治療に反応しやすいことなどが異なります。また、発症頻度は突発性難聴の1/35程度です。
特発性難聴では、右耳や左耳が時々急性増悪を繰り返しながら、両耳が聾に向かって進行します。
正常の加齢変化では4000〜8000Hzの高音部の難聴が現れますが、特発性両側感音難聴では、会話に必要な500~2000Hz の周波数域で平均1年間に約1dB程度、難聴が進行します。

特発性両側性感音難聴の治療法について

急性増悪時にはステロイド治療などを行いますが、残念ながら有効性は乏しいです。難聴の進行を遅らせるために、血管拡張剤やビタミン製剤の投与、また規則正しい睡眠や適度の運動、また長時間の騒音被爆は避けるべきです。
当院では、難聴手帳を患者さんに発行していますが、この手帳には定期的に聴力が記入され、難聴の進行の様子を患者さんと共に長い経過で監視しています。
補聴器でも会話不能の状態になれば人工内耳埋め込み術を考慮します。
特発性難聴は遺伝性難聴との関連が注目されており、将来的には遺伝子治療などが行える可能性があります。